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~あなたの周りでも起こりうる医療過誤~

病理検体の取り違えにより切除する必要のない乳房を全摘

病理学的検査というのは確定診断を決定づける重要な検査です。

しかし、その検査方法上、他の検査よりも取り違えのミスが生じやすい環境にあります。病理学的検査を行うには、担当医が患者の体から組織を取り、それに患者情報やオーダーが記載された伝票と共に、病理部へ提出されます。検査過程の一部は機械化が可能ですが、繊細な作業が必要な部分もあり、また多くの施設で病理部には病院経費があまりかけられていない傾向もあり、まだまだ一つずつ人の手で作業されています。

これは私が医療事故撲滅運動を行う中で、最も衝撃を受けた事件です。ある2人の女性が、同じ日に右乳房の針生検を受けました。医師が採取した組織は、補助の者が小瓶に入れます。補助をする担当者が採取前に小瓶に患者氏名を記載するという準備を怠り、さらにその日は2件連続しての針生検が予定されており、医師も診察の合間を縫って来たため時間に追われる緊張感が担当者を急かしました。そして、担当者は小瓶に記入する患者氏名を逆に記入して病理部に提出してしまったのです。

病理診断の結果、片方の女性は良性の腫瘍、もう片方の女性は乳がんでした。取り違えられた患者達は、片方は切除する必要のない右乳房を全摘され、もう片方は乳がんを見逃されるという医療事故が生じてしまいました。手術後に、切除した腫瘍を再度病理検査するのが通例ですが、そこで、その腫瘍が誤診のしようのない良性の腫瘍だと判明し、この医療事故が発覚しました。

いくら検査過程で細心の注意を払っていても、提出の時点で入れ違いが起こっていると、もうその検体はその間違った患者のものとして扱われてしまいます。腫瘍の病理学的検査を行う、つまりがんかどうかを決める重要な過程だということを念頭に、その過程に関わる全ての医療従事者がその責任の重さを理解して作業しなければなりません。

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