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~あなたの周りでも起こりうる医療過誤~

設備の整った病院へ搬送すべき患者

緊急医療の現場では、その緊急性と情報量の少なさに対し、受け入れ施設の人員や設備が見合わず最悪の結果に繋がることがあります。救急指定病院は、一次救急(入院・手術を伴わない医療)、二次救急(入院・手術を必要とする医療)、三次救急(二次救急で対応できないような重篤な疾患や多発外傷に対する高度専門医療)に分かれています。

最初患者を救急車で運んでいる時点での二次救急と三次救急の見極めが難しいこともあり、二次救急病院に三次救急レベルの可能性がある患者が運ばれてきた場合、二次救急で全て治療ができずとも三次救急に転送する前に出来る検査を行っておくなどの対応をしておくことが望ましいとされています。

今回問題が起きたのは、最初に受け入れた二次救急の当直医が「ここで十分に治療が完結できる」と見込んで三次救急への転送が遅れてしまった病院です。その医師は病院長でした。同じく医師であり、この病院を創立した父親が亡くなってしまい、40代という若さで病院長を継ぎました。医師としてのプライドがそうさせたのかもしれませんし、この施設での治療実績や急患受け入れ実績を伸ばさなければという焦りもあったのだと思います。

ベテランの看護師がついに「先生、三次救急の病院に受け入れ要請を入れましょうか?」という言葉にも「うるさい!今、必死なんだ!」と罵声をあげ、検査や点滴をしながらああでもないこうでもないと時間をかけてしまいました。

やはり自分では見切れないと判断し、ようやく三次救急へ転送しましたが、運ばれた先で患者さんは亡くなってしまったそうです。この「二次救急の現場で治療が足りるか」の判断は難しく、たとえ早急に三次救急へ転送したとしても受け入れ先が既に一杯で結局病院探しに時間がかかってしまうこともあります。

ですので、一概にこのようなケースを医療事故だと言うことは難しいのですが、今回のケースでは患者家族は「最初の病院であんなに待たされなければ助かったのではないか」と疑念を拭えず弁護士に相談し、検証を行いました。示談の形で収束しましたが、やはり患者家族側としては「もしもあの時」という気持ちは残ると思います。