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バイト当直医の把握不足

2016/08/16

二次救急病院の夜間に起こった出来事です。三次救急レベルの可能性がある患者が最初から三次救急に搬送できればベストですが、三次救急は「本当に高度な治療が必要な患者の切り札」的存在であり、そのベットを軽症の患者で埋めてしまうことはこれから来るかもしれない重症患者を受け入れられない事態に繋がります。

そのため、二次救急病院に三次救急レベルの患者が搬送されてくることもよくあります。ここで全て治療ができずとも三次救急に転送する前に、受け入れ先がすぐに治療を始められるよう検査を行っておくなどの対応をします。

救急隊が受け入れ要請をする際に「このような状態の患者ですが、受け入れ可能ですか?」と医師に電話で伝え、医師が可能だと判断すれば受け入れ、明らかに自分の病院では出来る処置がない場合は「それはすぐにうちより大きい病院へ」と断る場合もあります。受け入れたくとも、見誤って受け入れることで時間をロスし、結果的に患者さんの命を奪ってしまうことがあるからです。

当直医はその病院の常勤医でなくバイトで来ている医師が多く、その雇われている病院の設備や緊急検査可能な項目を十分に知らないことも多いです。私は臨床検査技師としてオンコールで呼ばれて病院へ駆けつけると、はじめて見る当直医が「遅い!なんでこの病院は臨床検査技師がオンコール体制なんだ!」と怒鳴りました。そして、早急に検査のオーダーを確認すると、当院では外注(院内で迅速検査できず、外部に委託する)検査まで出していたのです。慌ててその当直医に話しをすると、「その検査もこの場で出来ると思っていた」と言うのです。

その日、当直医に付いている看護師達はベテランで、当直医にオンコール体制や院内検査の項目を説明したのか確認すると「もちろんしているし、この病院の夜間対応説明もプラカードを渡して一緒に確認しています。でも、先生は久しぶりの当直バイトに興奮気味で、私達にも無理な注文をしてきて、本当に怖い状態なんです。」と話しました。

当直医の暴走行動が怖かったので、私達コメディカルはとにかく説明・確認をし、指示は記録して、患者さんのために出来る限りのことは尽くしました。患者さんの検査値は機械では判定不能レベルまで高値・低値な項目もあり、重篤であることは誰の目にも明らかでした。
患者は到着後から意識を失っているのに、この当直医の把握不足と誤った判断で当院に3時間は寝かされたままで、最終的に「やっぱり三次救急指定病院に転送しよう」とようやく搬送されることになりましたが、搬送途中に息を引き取られたそうです。
いずれにしろ亡くなっていただろうという状態の患者さんだったため、ご家族側からは何もありませんでしたが、「これは医療事故に当たるのではないか」と看護師達と私の方から病院に報告をしました。それ以後、当院にその医師がバイトに来ることはありません。

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