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名前の呼びかけで判断したことによる患者間違い

2016/08/20

これは超音波検査担当の臨床検査技師と病棟看護師が起こしたことです。私の勤めていた病院では、医師が入院患者の超音波検査のオーダーを出すと、指定日に検査が行われます。超音波担当者は超音波検査室で外来患者も検査しているので、外来予約の空き時間をぬって入院病棟に連絡し、患者を検査室まで連れてきてもらいます。

看護師は少人数で多くの患者を担当しており、「田中さん(仮名)連れてきました。お願いします。」と忙しなく患者を検査室まで案内し、また病棟へ帰っていきました。患者は80代の女性で車イスでの移動が必要であり、認知症が進んでいるため会話はほとんどできない状態です。

担当検査技師は「田中さんですね、検査しますね」と呼びかけをし、患者が頷いたので、患者のリストバンドを確認せず検査を始めてしまいました。通常、入院患者は患者名とユニーク番号が記載されたリストバンドをしており、これが患者を識別・確認する上で大事な役割を担っています。入院患者へ医療行為を行うときは必ず確認することになっています。
検査技師は、医師のオーダー通り、肝臓の超音波検査を行い、「肝臓がん疑い」でレポートを入力し提出しました。

この日は他にも入院患者の検査オーダーが立っていたので、検査技師は「田中さんのお迎えをお願いします。次は田口さんをご案内してください。」と病棟に連絡。そこで、別の看護師が「田口さんなら、今、超音波検査室にいませんか?」と返答したので、慌ててリストバンドを見ると、今検査し終わったのは田中さんではなく、田口さんであったことに気がついたのです。

その患者は両方とも80代女性で似た名前、肝臓の超音波検査のオーダーでした。つまり、まず看護師が間違った患者を検査室に案内。そして、検査技師もリストバンドの確認をせずに検査・報告をしてしまったのです。

今回はこの時点で気がついたので、患者に障害が残るレベルの事故には至りませんでしたが、片方の患者は肝臓がん、もう片方は肝血腫でした。もし、入れ替わった報告のまま気がつかなければ、医師は肝血腫の患者を肝臓がんの疑いで生検(組織を直接採って調べる)や手術を施行していた可能性も十分に有り得え、大変恐ろしいことです。

今回も問題について、院内の医療事故対策委員会で会議した結果、最初に間違えたのは看護師だが、実際に検査を行ったのは臨床検査技師ということで、臨床検査技師の責任が問われました。

高齢の患者は、呼びかけに頷いても理解していないことも多く、呼びかけだけで判断してはなりません。同姓同名の方も珍しくありません。必ず、リストバンドなどで患者氏名と番号をオーダーと照らし合わせる必要があります。

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