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細胞診のコンタミネーションで誤診

2016/08/23

病理学的検査はがんの確定診断につながる重要な検査です。結果は数値ではなく、医師の目で悪性かどうか、性質や進行度などが判断されます。

細胞標本染色のひとつにパパニコロウ染色という染色法があります。喀痰や血液や、腹水、心のう液などの検体をスライドグラスに塗布し、固定して染色します。組織など固形の標本と異なり、液体や粘液状の検体を塗布するので、染色中に細胞がひらひら剥がれ落ちることがあります。

通常、病理学的検査に用いる固定液や染色液は何度も使いまわします。このひらひらと剥がれ落ちた細胞が腫瘍細胞であり、そして他の患者のスライドガラスに付着したら、という事例が実際にいくつか報告されています。

例えば、尿の染色標本に別の患者の子宮内膜癌を疑う細胞が混入していたり、喀痰のスライドガラスに別の患者の腺癌細胞が混入していたり、という内容です。医師は、患者の病歴や検査歴などバックグラウンドも視野に入れて判定するので、だいたいのケースではこれがコンタミネーションによる細胞だと気づくのですが、偶然に偶然が重なってしまえば、がんのない患者の臓器を切り取り、がんのある患者を見逃してしまうという大きな医療事故に繋がってしまいます。術中迅速腹水細胞診断など、時間や精神的に余裕の無い環境下では医療事故が生じています。

病理学的検査室では、このような医療事故を防止するために、試薬の交換時間や頻度を決めたり、染色液を濾紙でこすなどしてコンタミネーション防止対策を行っています。 また、染色機器を扱う各メーカーでも、染色する度に新鮮な試薬を使用できる機械の開発や、試薬を安価で何度も交換できるようにしたりとコンタミネーションによる医療事故の防止に取り組んでいます。

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